今や知らない人は居ない程の有名ブランドへと変貌したブランド「THOM BROWNE」
「THOM BROWNE(トムブラウン以下表記)」とは1965年アメリカのペンシルバニア生まれのデザイナー、トムブラウンによって2001年に自身の名を冠したトム ブラウン ニューヨークが設立され、その後2017年秋冬シーズンにトムブラウンにブランド名が変更されたファッションブランドです。
現在も変わらずニューヨークを拠点とした運営となっており50年代後半から60年代前半にかけての映画によく登場するアメリカの黄金時代のファッションスタイルやアメトラと呼ばれるアメリカントラディショナルをベースにした、カジュアルではなくややゆったりとした独特のシルエットのドレススーツで知られています。
またアメトラの代表的なスタイルはアイビールックや肩パットをあまり使わないナチュラルなショルダーと寸胴型のシルエットが特徴のアイビーリーグモデルのスーツ等と言えるでしょう。
「THOM BROWNE」を生み出した天才、創設者兼デザイナーのトムブラウンとは一体
そんな創業者でありデザイナーのトムブラウンは1965年にアメリカのペンシルバニア州で生まれ、インディアナ州ノートルダム大学で経営学を学ぶ事となりました。競泳の選手としても活躍していました。
卒業後にはロサンゼルスで俳優として活動するも1997年に入り、ファッション業界へとキャリアチェンジ。
ニューヨークに移りアルマーニのショールームセールスをはじめ複数ブランドで勤務する事となった彼は、ラルフローレンが展開するブランドClub Monacoにてデザイナーとしての経験を積む事となります。
その後2001年に自身の名を冠したブランド「トムブラウン」を設立し、5着のスーツを作り完全予約制の小さな店を構えたのがブランドのキッカケと言えるでしょう。
また徐々にスーツ、ニット、ネクタイ、アクセサリーとメンズウェアのコレクションの幅を広げ、2003年にRTWコレクションをスタート。
2004年からはプレタポルテコレクションをニューヨークで発表し脚光を浴びる事となりました。
ここがきっかけとなりファッション界のあらゆる賞を総なめにしていく事となった彼は2005年にファッション・グループ・インターナショナルのライジングスターアワード、メンズ部門賞を受賞。
2006年、2013年、2016年とこれまでに3度にわたってCFDAメンズデザイナー・オブ・ザ・イヤーを獲得。さらには2008年には「GQ」誌のデザイナー・オブ・ザ・イヤーを受賞、2012年には、ニューヨークのクーパー・ヒューイット国立デザイン博物館が主催するナショナル・デザイン・アワードを受賞しました。
これは世界を形作る重要なヒューマニスティックツールとして様々な分野の優秀なデザインを表彰するとともに人々に情報を与え、知性や新しいアイディア、長く語り継がれる業績を推進する事によりデザインに対する一般認識を高める試みを行うというものであったとされ、テイラードを追求したマスターピースのようなハンドメイドのスーツコレクションはNYのメトロポリタン美術館コスチューム・インスティチュート、ロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート美術館に展示されています。
2007年にトムブラウンはブルックス ブラザーズとのコラボレーションにより「ブラック フリース バイ ブルックス ブラザーズ」のメンズおよびレディースのデザインを担当しメンズおよびウィメンズラインを立ち上げる事となりますが、ブルックスブラザーズにとってはデザイナーとの初コラボ商品であり記念すべきものとなりました。
そんなブラックフリースは2015年秋冬シーズンで終了しており、さらには「ハリー・ウィンストン」のメンズジュエリーラインとのコラボコレクション「Harry Winston Men by Thom Browne」を発表し、2008年にはモンクレールと組み、新ライン「モンクレール ガム ブルー」がスタート。
ミラノでコレクションを発表する。ガム ブルーはフランス語で青ラインを意味するとされ、赤ラインを意味するガム ルージュのメンズバージョンであると言われました。
2009年にかけては岡山を拠点としている1994年2月設立のクロスカンパニーから出資を受けて、グループの一員となり、トムブラウンジャパン社を設立。
2010年春夏シーズンから新ラインである「赤・白・青(red/white/blue)」を始めることを発表し、2011年より「トムブラウン」のウィメンズRTWコレクションがスタート。メンズコレクションの発表の場をパリに移し2012年にはユニセックスのアイウエアコレクションを発表。2013年のアメリカ合衆国大統領就任式では、ファースト・レディのミシェル・オバマが「トム ブラウン」を着用したことも大きな話題となりこの年アメリカ国外では初の旗艦店となる新ショップを東京・青山にオープンさせ片山正通率いるワンダーウォールが店内空間のデザインを担当し日本国内でも大きな話題を生みました。